長岡亮介数学勉強会「A History of Abstract Algebra by I.Kleiner」 第7回(p10-12)

レポート https://akasakas.cool/wp-content/uploads/2020/05/第7回1.7-The-theory-of-equations-and-the-Fundamental-Theorem-of-Algebra20190402勉強会.pdf

音声 https://anchor.fm/tecum/episodes/7A-History-of-Abstract-Algebra-by-I-Kleiner-p10-12-edgqc5

1 History of Classical Algebra
1.7 The theory of equations and the Fundamental Theorem of Algebra
方程式の理論と代数学の基本定理FTA

FTAとは、「次数が 1 以上の任意の複素係数一変数多項式には複素根が存在する」 という定理である。17世紀前半にジラールらによって主張された。

ビエタとデカルトの研究は、16世紀の終わりから17世紀の始めころ、数値方程式の可解性から文字係数を持つ方程式の理論的な研究へと関心の的が移った。多項式の理論が出現し始めた。その主たる関心は、そのような文字係数を持つ方程式の根の存在、本質、そして個数決定することだった。

 FTAの最初の証明は、1746年にダランベールから与えられたが、すぐオイラーによる証明が続いた。ダランベールの証明は解析学からアイデアを用いていたが、オイラーはほとんど代数学的であった。二つの証明は両方とも、特に、すべてのn次方程式が、実数の法則に従って計算することができるn個の根を持つということを仮定している点で、不完全であり厳密さに欠けていた。

ガウスは、1797年(彼がほんの20歳であった時)に完成し、1799年に出版した博士論文の中で、当時の標準では十分厳密なFTAの証明を与えた。

 19世紀の始め、FTAは相対的に新しいタイプの定理、existence theorem(存在定理) になった。すなわち、ある数学的な対象-多項式の根-は、単に理論上だけで、存在することが示された。20世紀になると計算できるかどうかは別、存在することが証明されればいいと変わった。これは数学の歴史において大革命と言える。


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