長岡亮介数学勉強会「A History of Abstract Algebra by I.Kleiner」 第3回(p3-5)

レポート https://akasakas.cool/wp-content/uploads/2020/05/第3回1.3-Al-Khwarizmi20190320勉強会.pdf

1 History of Classical Algebra
1.3 Al-Khwarizmi アルクワリズミ

イスラムの数学者たち、おそらく中でも最も際立っていたのは、Muhammad ibn- Musa al-Khwarizmi ムハマド イバムサ アルクワリズミであって、彼は720年頃から850年くらいまで生きたとされるが、“代数学におけるユークリッド”というように例えられる。というのは、代数学あるいは代数学の知識、“代数学”(そういうものがその当時あったとして)に関して、それを体系化し、それを独立した研究分野として確立した。現在の“algebra”代数学という言葉は、“Al-jabr”という彼の著書の中の言葉に由来する。

Al-Khwarizmi(アルゴリズムの語源になった)は、方程式の解法の基本的手順(方程式の両辺から同じ項は、消去できること)を2次方程式の解法に応用していた。彼は2次方程式を5つのタイプを分類した。

 次は、彼の解法と問題の一つの例である。
「正方形とその辺の10倍分だけ増加させられた時、39となる解を求めなさい。」
(即ち solve x^2 + 10x = 39).
 解:辺rootsの数(xの係数)を半分にしなさい。今日の例では、5が得られる。それを今度は2乗する。結果は25。39に加えると64になる。64となる正方形の辺、それは8を得る。その8から辺rootsの係数の半分即ち5を引く。残りは3。これが、探していた正方形の辺である。
Al-Khwarizmiの証明は、gnomon (グノーモン;平行四辺形から対角線上に頂点を持つ平行四辺形を取り除いたL字形の図形)を作図する。

今更ながら6世紀の証明の理解しかできていない自分に唖然とする。


長岡亮介数学勉強会「A History of Abstract Algebra by I.Kleiner」 第2回(p2-3)

レポート https://akasakas.cool/wp-content/uploads/2020/05/第2回1.2-The-Greeks20190313勉強会.pdf

音声 https://anchor.fm/tecum/episodes/23-4-5A-History-of-Abstract-Algebra-by-I-Kleiner-p2-8-edab94 (p2-3)のみです

1 History of Classical Algebra
1.2 The Greeks 古代ギリシャ

Euclid(ユークリッド/エウクレイデス)は、古代ギリシャBC300年頃の数学者で、「Elements(原論)」の著者であり、「幾何学の父」と称される。このユークリッド幾何学は19世紀末から20世紀初頭まで使われてきた。

ギリシャ代数学の業績はDiophantus’ Arithmetica (ディオファントスの数論)である。200年頃の人だからユークリッドの時代から500年以上経っている。ディオファントスは、代数で記号を導入した。3とか5とか数で表現してきたものが、xを使って方程式を扱うことになる。これが代数学の最初の大きな出会いになる。
Diophantusの代数学
(a) 二つの基本的ルール。一方の辺から他方の辺へ移行する際のルール、式の両辺から同一の項を消去するルール。移行するときはプラスマイナスが変わる、同一のものは消していいということ。
(b) 未知数の負ベキの定義をした。そして、指数法則を明確にした。
(c) 負係数の演算についていくつかの諸規則を述べている。例えば、マイナスにマイナスをかけた時はプラスになる。
(d) 古代ギリシャの伝統の鎖から離れていた。

x^3 −2x^2 +10x −1 = 5 をギリシャ文字で表すことはクイズのようで、手間がかかるが楽しい。
ςシグマは未知数(ζゼータではない)、Φファイは引き算、Īōイオシグマは等しいという相当性、Δσ (デルタの上付きシグマ)は未知数の平方、Κσ(カッパの右肩シグマ)は立方、などなど。


長岡亮介数学勉強会「A History of Abstract Algebra by I.Kleiner」 第1回(p1-2)

レポート
https://akasakas.cool/wp-content/uploads/2020/05/第1回1.1-Early-roots20190306勉強会.pdf

音声
https://anchor.fm/tecum/episodes/A-History-of-Abstract-Algebra-by-I-Kleiner-p1-2-ec9529

およそ紀元前1700年頃のバビロニア人は2次方程式を解いている。係数も変数も無く、しかも60進法を用いて。
<問>
I have added the area and two-thirds of the side of my square and it is 0;35[35/60 in sexagesimal notation]. What is the side of my square?
<解>
You take 1, the coefficient. Two-thirds of 1 is 0;40. Half of this, 0;20, you multiply by 0;20 and it [the result] 0;6,40 you add to 0;35 and [the result] 0;41,40 has 0;50 as its square root. The 0;20, which you have multiplied by itself, you subtract from 0;50, and 0;30 is [the side of] the square

この文章が理解できた時、とても嬉しかった。およそ4千年前のバビロニア人と会話できたように思えた。しかし、現在の表記法が発明されたおかげで、数学は式として表せるようになった。代数は人が創った人工言語なのだ。だから厳密さを要求され、証明するということが最も大事なこととなる。曖昧にしていると、「なぜ、それが言えるのか、根拠を言え」と突っ込まれる。曖昧な笑みはここでも不要!


長岡亮介数学勉強会「A History of Abstract Algebra by I.Kleiner」

音声
https://anchor.fm/tecum

大学の数学科に籍を置いていたというのに、高校までの数学しかイメージできない。「数学科、すごいね」と言われるたびに、「数学は哲学」なんて、煙に巻いていた。

50年のブランクを経て、事もあろうに、数学者長岡亮介先生

NPO法人TECUM http://www.tecum.world/ 理事長)にご指導いただくチャンスを得た。テキストはI.Kleiner著「A History of Abstract Algebra」。1700BCの数学から20世紀抽象代数への4千年の歴史を学ぶことになった。(高田順江)

(注)録音は周りの騒音も入ってお聞き苦しいところもありますが、ご容赦ください。なお、レポート(テープ起こし)は先生のチェックを受けておりませんので、正確な翻訳にはなっておりません。